「トラウマ」という言葉は、非常に軽い意味で使用する人もいますが
苦しんでいる人・苦しみ続けている人にとっては、冗談では済ますことができないものです。
”生きづらさ”を抱えた人間というのは、何らかのトラウマを抱えていることは珍しくなく
それによって、常に不合理・不利な日常生活を送っている人も多いはずです。
そもそもトラウマは、全ての生きづらさの根底にあるものでもあります。
そしてそういった人というのは、必ず一度はトラウマの克服を願ったはずであり
「自由になる」と言う言葉が、これほどしっくりくる対象もありません。
もちろん、中には”トラウマからの解放”を諦めてしまった人もいるかもしれませんが
本当は・常に克服したいと、心の底では願っているはずです。
目次
「トラウマ」とは
トラウマは「心的外傷」と呼ばれ、その言葉が表す通り「心の傷」です。
一般的には、「過去の壮絶な体験」といったものが原因であり
- 日常的な虐待
- 愛する人の目前で起きた死
といった、”継続的”なものや”一瞬”等の様々なケースが考えられますが
その「原因」となるものを経験した時間」よりも、トラウマによる反応が
- 一定期間で治まるのか
- 継続して現れているのか
ということが、症状を判断する対象となります。
心的外傷を受けた直近に、いわゆる「フラッシュバック」が現れる症状は
「急性ストレス障害」と呼ばれ、その後に不眠といった症状が続く場合には
「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」に発展しているものとされます。
どうしても頭から離れない
そもそも、ショッキングな出来事を経験した後というのは
誰しもが「反動」や「余韻」を経験するものであり、強盗・強姦等を経験した後に
「1人で暗い道を歩けない」というのは、人間として当然の反応であると言えます。
そして、生きていれば誰もが多少の心理的ダメージを受けています。
しかしトラウマと表現される症状は、その「悪い思い出」を
- 忘れることができない
- 頭に染みついて離れない
ということが根本的な問題であると言えます。
そしてそれは、ある意味で「強迫観念」と非常に似ています。
- 思い出したくない
- 思い出さない方が自分にとって都合がいい
- でも、考えてしまう
- 考えることがやめられない
自分の経験からも、トラウマと「強迫性障害」は非常に関連性が高いと言えます。
そもそも強迫性障害に陥る原因に関しても、トラウマと通じるものがあるはずです。
トラウマを持っている人の特徴
その人がトラウマを持っているかどうかは、見た目では分かりません。
また、うまく隠している・誰からも気づかれないことも多く
自分一人で苦しんでいることもまた、トラウマを悪化させてしまう要因でもあります。
トラウマの原因・種類の傾向は人ぞれぞれであり、一概には言えませんが
その症状としては、”思い出した瞬間”に起きる発作である
- めまい
- 動悸
といったものから、
- 不眠
- 抑うつ傾向
といったものに加えて、
- ヒステリー
- 子供返り
といった、「癇癪」のようなものがが現れることが多いようです。
またPTSDは、アルコール(薬物)依存症を併発するケースも多く
「二次災害」を招く、典型的な精神トラブルと言えます。
トラウマから解放されるためにできること
精神的苦痛・肉体的な不便さを感じないことには越したことはなく・・・
であるのであれば、
トラウマの克服というのは、”必ずするべき”と考えられます。
”時間が解決する”という種類の精神的ダメージもありますが、
「トラウマ級」ともなると、何もしないままではずっとそのままです。
トラウマの治療というのは、一般的には「カウンセラー」と呼ばれる
精神医療の専門医に、まさに「カウンセリング」を受けながら
- 「トラウマの原因」を探る
- 思い出すことでどの程度の負荷がかかるのか
といったことを、少しずつ進めていくことになります。
が、この治療の過程に関しても苦しい戦いになります。
またPTSDの治療には、「抗うつ剤」が用いられることになりますが
薬で治るのであれば、誰も苦労はしません。
広く知られる通り、薬物療法のみでの神経症・精神障害の完治は非常に困難です。
「行動療法」の繰り返しで徐々に軽減するしかないが
神経症の治療には、上記した薬物療法の他に「行動療法」というものがあります。
苦手なもの(強迫観念が発生する対象)に心身ともに触れてみる
例)人混みで発作が起きるのであれば、少しずつ人混みを経験する等
薬物療法に比べて、より根本的な解決に近づけるはずであり(個人的な見解として)
実際には薬物療法と平行して行うことで、どちらかだけよりも回復しやすいとされます。
この行動療法は、その内容によっては「ショック療法」とも言うべきものであり
問題に向き合うことで、その問題の大きさを軽減するものとも考えられます。
しかしながら、当然のように「危険」が伴います。
<カウンセリング中に気を失う>ということは、珍しことではありません。
にもかかわらず、トラウマをはじめとして精神的なトラブルを解決する際に
トラウマと向き合うというのは、必要なことである・・・とされています。
本当にそうでしょうか?
<向き合わない>ことが必要なことも
「自分と向き合う」というように、自分自身の内面を”客観的に”考えることは
トラウマの解消以外にも、夢・目標といったものを整理する際に必要なこととされます。
しかしながら、自分と向き合ったからといって夢が見つかるとは限らず
向き合ったままの状態、いわゆる「モラトリアム」の状態こそが
人生にとって、結果的にマイナスになることも珍しくありません。
一方で、<深く考えない>ことでうまくいくケースもあります。
有名人・起業家・お金持ちの中にも、
- たまたまやっていたことがあたった
- お金を稼ぐための仕事が天職だった
というケースは、意外と多いものです。
夢や目標を最初から持つことが、それほど素晴らしいものではないはずなのです。
こういったことからも、
「トラウマの解決のために自分と向き合うことをしない」
ということが、<その後に安定して生きる>ための1つの手段の可能性があります。
これは「あえて、考えない」ということであり
それで済むのであれば悩む必要はなく、非常に難しく非常に矛盾した手段でもあります。
大切なことは、”考えなくても済む”という状況を作り出すことであり
- 環境を変える
- 仕事や趣味に打ち込む
とにかく、「他に夢中になれること」を探すことが大切です。
”逃げるしかない”という場合も多いことが現実
どうしてこれほど、「克服」ではなく<逃げること>をおすすめするかと言うと
「トラウマからの完全な解放」は、不可能であると考えられるためです。
トラウマと向き合った結果、悪化してしまうことは珍しくはなく
克服のための手段が、まさに本末転倒になります。
克服にはリスクがあり、うまくいったとしても「完治」はないのです。
残念ながら。
そうであるのであれば<逃げ続ける>ことは、ある意味で合理的です。
トラウマのない人・トラウマを完治したと思っている人は
「いや、ちゃんと向き合って解決するべきだ」と言うかもしれません。
しかしながら、その人はあなたではありません。
繰り返しになりますが、トラウマと<向き合う>ということは危険なことです。
だからこそ、カウンセラーという専門家と”一緒に”行う必要があります。
もし「自分独り」の状況の場合には、絶対に避けるべきことです。
何らかの異性的なトラウマがある女性は、夜の仕事に就くことも多いようです。
常識的に考えれば、「意味不明」です。
そういった経験のある女性は、普通は「男性恐怖症になるのでは?」と感じるはずです。
しかしながら、ナイトワークの極致である「ピンク色のお店」で働く女性もいます。
そういった女性というのは、
実は男性に対して恐怖を持っている
にもかかわらず、
最大限に男性と関わる職業を仕事にします。
もちろん、合理的ではありません。
そういった点も、強迫性障害とそっくりです。
逃げるべき自分を苦しめた対象に向かってしまう
ということも、ある意味で強迫観念によるものであると言えます。
しかしながら、見方を変えれば1つの”ショック”療法と言える部分もあります。
だからこそ、「そんなことしないで逃げるべき」と考えるのです。